ピアノ弦交換は、ただ弦とチューニングピンを交換するのではなく弦圧調整も行います。
弦圧とは、ピアノ弦が響板に付いている駒という部分にかかる圧力の事をいいます。
この圧力によって、ピアノの音は大きく
変わってくるのです。
古いピアノは、響板のハリも悪くなり弦圧も再調整しないといけない事も!
★オーバーホールでなくても、弦交換は可能です。
◎写真は専用の工具で弦圧を測定しているところ。
(測定方法はいろいろあります)
弦圧測定でデータを取ると、次に古い弦を外す作業に入ります。
ここも注意しなければいけない事があります。
ピアノは230本ほどの弦が張ってあり、総張力は約20トンにもなります。
何も考えず弦を外していくと、ピアノ本体や
フレームに大きなストレスを与えてます。
まずピアノに負担をかけないようバランス良く張力を下げていく必要があります。
全部張力を下げ終わって初めて弦を外していきます。
低音弦は、ピアノ弦に銅線を巻いてある特殊な弦です。
当工房では、この低音弦(巻き線と言います)を自社製作できるので、寸法など
データを測定します。
弦を外した後、もう一度弦圧を測定します。
弦がはってある場合では、駒に対して圧力が掛かっているので
ピアノ弦を外すことによって、その圧力から開放されるので
どの程度変化したか確認するためです。
このときは、糸を使って測定します。
注)フレームをピアノ本体から外さない
場合は、弦圧調整は微調整しかできません。
弦圧調整が終わると、張弦作業に入ります。
ピアノ弦は、沢山のサイズがあります。
高音側の弦は細く、低音にいくに従って太くなっていて
弦の太さや長さによって、張力も変わって
きます。
チューニングピンにもサイズがあり、元入っていた時のピン味の硬さによってサイズを変更しています。
調律の際、非常に重要になってきます。
★ピアノ弦 ⇒ レスロー
★チューニングピン ⇒ ビーネ(Biene)
★低音弦 ⇒ レスロー&デーゲン
(全てドイツ製)
ピアノ弦を張り終わると、次に弦の間隔やチューニングピンに巻いてある
ピアノ弦のコイルを綺麗に調整します。
その調整が終わると、【チッピング】という作業を行います。
チッピングとは、弦を専用の道具ではじき
ながら音を合わせていく作業です。
新品の弦は、ドンドン伸びていくので大体の音合わせをここで行います。
この段階で張力がピアノにかかってきます。